①相続不動産の共有持分解消のためのご価格提案 千葉県事例ほか
100坪を超える敷地に築40年を超える建物が2棟。この土地は、父祖代々のものであった。これら不動産に、1次相続、2次相続が絡み、その名義は、第1次被相続人のまま。第1次被相続人は、両親はすでに他界、先妻(死別)の子2人と後妻があり、後妻との間に子はなかった。そして、第2次相続が発生。後妻が亡くなり、相続となった。後妻と先妻の子ども2人は仲が良く、一緒に生活していたが、養子縁組はしていなかったため、後妻名義の財産(父祖代々の不動産の共有持分1/2とその他預貯金等)は、後妻の兄弟への相続となり、相続人が10名を超えることとなった。後妻の兄弟にも死亡してる者もおり、相続は代襲相続も加え、非常に複雑な様相を呈した。
問題点①
父祖代々の家屋敷と財産のうち、半分は配偶者である後妻の持分となり先妻の子との間に養子縁組をしていなかったため、後妻の相続分が父祖代々の財産の半分を占める。しかも後妻には子がないため、第二次相続の被相続人である後妻の相続財産はその兄弟姉妹に対して行われることとなった。父祖代々の財産のうち、その半分は、直系の卑属が存在しながら、まったく違った血族へ引き継がれることとなってしまった。
⇒教訓 :1)後妻と先妻の子どもたちとの間で、養子縁組をしておくべき
であった。養子縁組をしていれば、子として直系卑属が父祖
代々の財産を受け継ぐことができた。
2)今後は、家族信託を活用することでこれらの問題は解決でき
る(父祖代々の家屋敷等の財産を自分の希望する人に引き継ぐ
ことができる)。
問題点②
問題点①の結果、土地及び建物の不動産が共有持分状態になってしまった。
共有持分状態の不動産は、処分など重要な判断は、単独で決定できず、父祖代々の家屋敷でありながら、他の血族である後妻の兄弟やその子(代襲相続人)たちの思惑に左右されるということとなった。
⇒教訓 :1)相続が発生する以前に父祖代々から引継がれてきた不動産は
単独の所有になるように手配しておくべきであった。
[ 結果 ] 本案件では、多数の共有持分者が実在し、意見がまとまることは
なかった。このため、不動産の適正価格を評価しご提案すること
で、相続人を含む持分権者の中から所有の1本化ができるか探る
こととなった。
具体的には、直系卑属の1人が買い取ることとなり、関係者間で
の話し合いの結果、売買のための鑑定評価額を決定し、持ち分に
応じて決済されることとなった。
この間、数年に及ぶ期間がかかった。
②協議離婚時の不動産の利害調整 神奈川県事例
中高年ご夫婦の熟年離婚のケース。2人とも年金受給者であり、相続の問題もあり、現預金と不動産の財産分与に際し、大きくもめることとなった。不動産は、マンションであり、夫婦の共有名義のものである。現預金は、分けやすいが、不動産の評価は、単純にはいかず 事前に評価する必要があった。
[ 結果 ] 資産価値の把握を前提とした鑑定評価を行い、評価額を提示。
結局は、売却して持分通りに現預金を含む資金を分割することとなった。
③相続時の借地権の評価 東京都中央区 事例
父親の遺した相続財産の継承に関しての問題。
父親は、借地権付建物を所有し、妻と子が2人いた。子は長男が先妻の子であり、下の子は後妻の子であった。長男は、父親の家業を継いでいるが、父の配偶者(後妻)との間には、養子縁組をしていなかった。父親が亡くなり、被相続人である父の相続財産は、長男が全体の1/4を妻である配偶者が1/2、下の子は1/4を相続することとなった。
長男は、家業を継ぐ必要性もあり借地権付建物の権利を買い取るために、借地権の評価を依頼してきた。
[ 結論 ] 資産評価を前提に借地権の鑑定評価を行った。売却価額の評価と
違い、今後も所在を継続して家業を営むため、周辺地域の地価の
動向は、参考に評価額を算定。同地域は、東京オリンピックを見
越して地価の上昇が激しい地域であるが、オリンピック後の地価
の下落も視野に入れて本来の資産価値を評価する必要があった。
借地権割合の問題も微妙に関係し、難しい評価となったが、当事者
間の調整は、当方が提案した評価額でまとまり、買取がうまくいった。
その他の事例
・ 相続時の遺留部分減殺請求にかかわる、土地建物の鑑定評価やその前段階の
プレ評価など
・ 相続財産の過半を占める不動産の時価について、実際に相続人同士で話し合って
分ける段階での意見の違いなどからくる争いを解決するための相続時の不動産の
時価評価。
・ 借地権者が底地の買取を希望し、土地所有権者との話し合いのために価格提示
を依頼。
・ 借地権買取交渉に添ったコンサルティング、多数。
底地権者が国(財務省)である場合の借地権共有持分の買取による1本化並びに
国から底地買取にかかわる業務。
・ 不動産の有効利用又は販売に関して、大手不動産に相談していたが、販売ばかり
を勧められ、セカンドオピニオンを求めてくるケース。
-不動産の販売に関しは、不動産業者の方は、無料査定を謳って皆様に不動産
の販売を促す営業が一般的です。複数の業者さんに無料査定の見積もりを
依頼して 最も高価な額を提示した不動産業者さんに売却を依頼するケースが多い
ようですが、これには少し注意が必要です。